退職ブログ:2019年にカプコンを退職した話(1)

2019年にカプコンを退職した。

理由は『苦労してでも変化を選びたい』『仕事を自分の力で獲得したい』といった、意外にも前向きなものだった。

会社を辞めるときはネガティブな要因で辞めるものと思っていた。辞めた今だから言えるが、会社を辞めることに特別な意味なんかなくて、ただ『慣れ親しんだ環境を変えること』その1点に尽きると思う。

環境を変えた後に見える景色

たいていの人は役割を与えられる方が安心する。何をしているか。毎日どんなことに時間を費やすのか。慣れが安心を生む。言葉を選ばずに言えば、その方が思考停止で楽に生きられる。でも変化を起こさないといつか頭打ちになる時が来る。

ミュージシャンのデヴィッド・ボウイは『変化を恐れず常に変化すること。慣れを感じたら、そこはもう自分の居場所ではない』そう言い放った。結構これは真理だと思っていて今でも時たま思い出す言葉だ。

自分の場合は慣れてくると『このままでいいんだろうか』といつしか考える時が来た。就職して一度は皆考えることもあると思う。このタイミングで思い切って環境を変えられると、変化が起きる。変化に踏み切れない時はまだそのタイミングじゃないとも言える。

何も変化した方がいいという話をするつもりはない。でもどうやら変化が多い方が時間の密度は濃くなるようだ。長く1つのことに囚われていると時間はあっという間に過ぎる。時間が経ってから振り返ってみた時に、良いのはどっちか。それすらも自分で決められればいいと思う。

不安はもちろんあったが、振り返ると自分は会社を抜け出して、無理やりでも環境を変えてよかったと思っている。離れてみると、どれだけ自分が狭い世界で生きていたのかに気づく。その頃は環境が自分の思考を作るということを本当の意味で気づいていなかった。今は昔よりも毎日、日々を生きている実感がもてるようになった。

人生は日々の瞬間の積み重ねだと気づく

変化を邪魔するのが、今の自分の環境に甘んじること(慣れ)だと思う。ポジション、役割、収入、人間関係、あらゆる手に入れたと思っているものが判断を曇らせる。置かれたそこそこの状況で満足してしまう。

でもそんなものは自分自身が勝手に作り出した幻想に過ぎないと思う。それは人生は毎日、日々の瞬間瞬間の積み重ねでしかないことに他ならないからだ。(哲学的な話ではなく事実として)

ゲーム会社も一般企業も同じ

ゲーム会社は、よくある一般企業と同じだ。そこには文化やルールが存在する。比較的クリエイターは優遇され守られている会社が多いだろう。失敗してもクビになることはなく、生活は保証されている。極端な話、出社して座っているだけでも給料がもらえる。違いと言えばちょっと変わった楽しい人もいる場所というだけだ。

会社では、クリエイターとて一般常識やビジネスマナー(それほど厳しくはない)が求められる。自分も空気を読めというような言葉を何度も言われた気がする。でも今だから言えるのは、空気を読めるも読めないも人の個性だから、無理に合わせなくてもいいし、それが受け入れられる文化であってほしいと思う。それは個性なのだから、うまく社会に馴染めない人は無理に自分を責めないでほしいと思う。周りに合わせて普通になろうとしなくていい。現に自分は空気を読めないままだけど、別に何不自由なく生きられている。

自分は会社で勝手に『よい子であろう』としすぎた後悔がある。会社でうまく生きていくために身につけた術だと思う。その後、結果的にそれは妥協という甘えに変化しかけてしまっていた。

会社や周囲に合わせることを正として自己を正当化していたのだろう。会社を辞めるということはどこかでその殻を破りたかった、という気持ちがあったに違いない。

その2へ続く

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